こんにちは、桝田です。
前日の講演を踏まえて、アダム・カヘンさんの「合意できない人たちと未来を共創するには~ストレッチ・コラボレーション」1日ワークショップ。
前日の講演からモヤモヤしている、今ある問いについて4人グループでシェアし合うところからスタート。
私は、「合意できないが協力できる、のとき、それぞれに、また状況には何が起きているのか?」という問いがありました。
問いを全体で共有し、答えはこの一日の中で見つかるかもしれない、最後にまだ残っていたら答えましょう、とワークに入っていきます。
ストレッチ・コラボレーションの3つのストレッチそれぞれに、体験し、気づきをシェア、解説から学ぶというスタイルで一日が進行しました。
必ず、「あなたの現実でのコラボレーション体験と、今の気付きはどのようにつながっているか?」という問いとセットで。
- 協働者たちとどのように関係するか、のストレッチ
- どのように取り組みを進めるか、のストレッチ
- 状況にどのように関わるか、のストレッチ
第1のストレッチ:協働者たちとどのように関係するか
体験したワークは、レゴを使って、チームで行うワーク。
ワークが終わったあと、
ワークに取り組んでいる間、自身にどんなことが起きていたか?
自身の普段のコラボレーションスタイルにどう関係しているか?
について、気づいたことを他の方とお話ししました。
私が自身について気づいたことは、ふたつ。
- まず、他の人が何をしようとしているのか見ている
- なにか、「みんなでつくろうとしている一つのものがある」という前提を持っている
特に後者について、「一つのもの」は、実際にはないことも多いのかもしれないと感じました。
今一緒になにかをしているうちの誰も、事前に仕様まで決まり、決まったからつくり始めているのではなく、あるのは「こちら」という方向性だけ、かもしれないと。
アダムさんからは、
「みんな自分の仕事をしようとしているだけ。
自分の邪魔をしている人はいるかもしれない。でも、思っているほど多くはないかもしれない」
という問いかけがありました。
第1のストレッチについては、もうひとつワークを行いました。
4つの違った「話し方」と「聞き方」をペアになってそれぞれ2分ずつしてみる、というもの。
テーマは、今回は「職場でのハラスメントへの対応」について。
- ダウンローディング:話し方は、「真実はね、……」。確信をもって。聞き方は、聞かない。
- 討論(ディベート):話し方は、「私の意見では、……」。意見の衝突、評価。聞き方は、判断する。
- 対話(ダイアローグ):話し方は、「私の経験では、……」。自己内省的。聞き方は、共感する。
- プレゼンシング:話し方は、「今ここで私が気づいていることは、……」。生成的。聞き方は、境界が曖昧になる。
それぞれ違った4つの「話し方」と「聞き方」をしてみて、気づいたことと二人の関係に起きたことを各自振り返り。
私の場合は、
- ダウンローディング:確信をもって断言する難しさ、聞かないことの難しさを感じた。だまってしまう。テーマである「ハラスメントへの対処」から意識が完全にそれて、相手の「自分の正しさ」を受け取っている感覚。
- 討論(ディベート):相手の意見と「違う意見」を探す、主張する。「ハラスメントへの対処」について主張しているのは自分自身の意見とも違う。意見の論理的な差異、メリット・デメリットを明らかにするゲームのような感覚。
- 対話(ダイアローグ):自身の過去を全身に意識を向けて探る。自分に深く入る。相手も相手自身に深く入る。「ハラスメントにまつわる自分の経験」に意識が向く。
- プレゼンシング:たった今の気付きに意識が向く。ハラスメントが起きる・起こす心理に意識を向ける。「自他にあるハラスメントをどのようなものと捉えるか」について、ようやく考えられ、話ができる。
という気づきが。
ダウンローディングやディベートでは、そのテーマについて考えているようで、実際には自分の状態や相手の状態に注目していると感じました。
対話は、ようやく相手が誰なのかわかって安心する。ただ、前には進まない感じ。
プレゼンシングでようやく、話したかったことについて、本当に相手と話ができる感覚がありました。
私自身の現実のコラボレーション体験とのつながりとしては……、なによりまず自分の考えを話せない。主張できない。
相手が聞いてくれなければ話がしづらい。早くてついていけない。
テーマではない話をしているようにしか聞こえず、わからなくなって混乱する。
ということを、現実の「話す」「聞く」でもよくやってきたし、やっている気がします。
現在のもっとも身近なコラボ相手である一人、夫との会話には、時と場合によって4種類すべての会話があるな、とも思いました。
他の方からも、だんだんゆっくりになっていく、安心感が出てきた、というシェアがあり。
日本にはダウンローディング&忖度しかないのでは、というジョークも。
アダムさんからは、
「1~4いずれの話し方、聞き方もする自由がある。そして、1~4は、それぞれに異なる結果を生み出す」との解説と。
いま自分にとって完全に当然のもの、となった考え方なのだけれど、と「ホロン」という概念を図でご紹介くださいました。
円や楕円などの図形が不規則に重なったり、重なっていなかったり、という図です。
たとえば、「アダムさん」は個人としてひとつの「全体」である。
同時に、いま、「アダムさん」は「アダムさんと通訳のゆみさん」という講師チームの一部でもあり、「アダムさんと奥さん」という家族の一部でもある。
個人とは誰もが「個人というひとつの全体」であり、同時に、会社、家族などその方が人生を過ごしている「様々な全体の一部」でもある、という概念です。
アダムさんが過去の著作でも丁寧に説明してこられた、powerとlove、どちらかだけではなく、そのどちらもが必要ということについて、ここでも強調され。
powerとは、それぞれのホロンの全体性にかかわること。
loveとは、それぞれのホロンの部分にかかわること。
全体と部分、両方にかかわりながら前に進めていく必要があると。
またここで、「礼儀正しさ」の役割について議論がありました。
礼儀正しくあることのメリットは、全体を維持し、まとめておくこと。
一方でリスクとして、対立を見ない、隠し、ないものにすることもある。
部分同士の対立は実際にあるし、対立は続いていく。
なにより大切なのは、無視をしない、対立をないことにしないこと。
対立もつながりも受容する。
長くなったので、続きます。
【2018年11月1日・2日 アダム・カヘン氏WS「合意できない人たちと未来を共創するには~ストレッチ・コラボレーション」 関連記事】
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